【地球を梱包するクリスト】
クリスト(Christo/1935年〜)はブルガリア生まれのアメリカ在住のアーチストで建物や海岸、橋、道、島などのさまざまなモノを布で包み込むことで知られますが、初期に比べて作品規模も大きくなりフランス人の妻、ジャンヌ=クロード(1935年〜2009年)と「クリスト&ジャンヌ=クロード」の名前で二人三脚で活動してきました。
1976年「ランニング フェンス」(カルフォルニア)
出典:https://www.kcet.org/
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彼の作品は「包む」、「梱包」等の言葉で言い表される(彼自身はそう言った言葉で括られれのは好まないようです)ことが多いのですが、正確には「覆い隠す」と言う表現の方が的確な気がします。勿論、その範疇に収まらない作品もあるのですが、初期のショーウィンドウに白い布を張って中を見えなくした作品は彼のそうしたコンセプトを象徴しているようにも思えます。
古くは裸の女性を透明なビニールで梱包する作品を制作していますが、クリストにとって対象は違っても、「包む」と言う行為はどれも衣服のようなものなのではないでしょうか。
彼の作品は非常に大規模ですが、驚くべくことにスポンサーや寄付などは一切受け付けず、すべてドローイング等を販売した数十億にのぼる自己資金やボランティアだけで制作しています。
それはスポンサーに左右されない作品の純粋性を保つことにも繋がっています。また彼のプロジェクト自体が旧ドイツ国会議事堂の梱包プロジェクトのように政治的な意味合いを持ってくるものも多く、最近ではトランプ政権に反対して25年越しで進めていた米コロラド州のアーカンソー川の川面の上を約9.5キロにわたって銀色の布で覆うプロジェクト「オーバー・ザ・リバー」を直前に中止しています。(トランプ氏が政権を担うこの国に利益をもたらすようなプロジェクトは行いたくないと言う趣旨のことを言っています。)
プロジェクト自体にかける時間も数年から十数年かけたものがほとんどで、長いものでは25年以上かけて実現したプランもあります。またその実現までの期間とは対照的に作品の展示期間は数時間から2週間程度と短いものがほとんどです。
以前、日本でも1969年に上野公園を包み込むプロジェクトなどが計画されましたが、行政側の許可がおりず結局実現しませんでした。
しかし 、日本でも1991年に茨城県の水田に1,340本の青色の傘とカルフォルニアの砂漠に1,760本の黄色の傘を同時に設置すると言う「アンブレラ」プロジェクトが実現します。
一本の傘の直径は約8.7メートルという巨大なもので18日間設置されました。
【クリスト作品】
>>>Christo & Jeanne-Claude
【関連書籍】
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